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2004年から2009年まで更新していたブログ「今週のすぎやん」の内容を抜粋・修正し、ブログには書ききれなかった作者の思いや後日談なども新たに書き下ろしたエッセイ。

ドラマ「ペペロンチーノ」で気付かされたこと。

ペペロンチーノ レビュー
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先日、NHKのBSプレミアムで放送された「ペペロンチーノ」というドラマを見ました。

津波で店を流された、草彅剛さん演じるイタリアンレストランのシェフ・潔。
彼と、彼の周りにいる人たちの再生を描く物語です。

津波とか地震とか、直接的な言葉や映像は用いず、悲しみやむなしさを乗り越えた先にある、穏やかな幸福感が描かれていて、とても良質なドラマでした。
特に、終盤の大どんでん返しには、ちょっと驚きました。

印象的なセリフがたくさんあったのですが、私が特に心に残ったのは、「俺は被災者じゃない、俺は料理⼈です」という潔のセリフ。

彼が建て直したレストランは評判を呼び、雑誌やテレビで紹介されるようになります。
でもその紹介は、常に、潔が被災者である、という切り口。

ある日、コロナ禍で客が誰も来なくなった店に、ウェブマガジンの女性編集者がひとりで取材にやってきます。
彼女は取材を忘れて食事を堪能、後日、彼女がアップした記事には、「おいしい食事を提供する店」として記載されていました。「被災者」という切り口は、どこにもなかった。

その記事を見た潔は、彼女の元に走り、記事のお礼と共に、叫ぶようにこのセリフを吐き出します。

あの災害から10年。今日1日、ニュースやワイドショーではきっと、「被災者」や「復興」という言葉が嫌というほど飛び交うでしょう。
便利な言葉だけれど、被災していない人たちが安易に使うと、その言葉は何か空々しくなる。

何をどう頑張っても、「被災者」「復興」というフィルターを通してしか見てもらえないと感じる人たちが、たくさんいる。中には、深く傷つく人もいる。
そんな当たり前のことに、改めて気付かされました。

東北地方では再放送があるらしいですが、地上波での全国放送を検討してほしいなあ。

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